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英雄より民衆の方が強い!トルストイの「戦争と平和」とナポレオン

私が漫画「キングダム」に違和感を感じる素地は、

高校生の時に愛読したトルストイの「戦争と平和」から来ていると思う。

戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

前回の記事で漫画「キングダム」での

英雄と凡人の「生命の価値の違い」に感じる違和感を述べたが、

今回の記事では、それについて語りたい。

トルストイの「戦争と平和」

「戦争と平和」は、生まれて初めて読んだトルストイの本で、

中学時代に好んで読んでいたロマン派のユゴーとかに比べて、

山場も少なく、日常の細々した場面ばかりが綴られていて、

正直、退屈で退屈でしょうがなかった。

ヴィクトル・ユゴー作品集

ヴィクトル・ユゴー作品集

同じ19世紀のロシアの作家でも、

ドストエフスキーの方がよっぽどドラマティックで、

読んでいて夢中になれた。

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

トルストイの「戦争と平和」は長編でもあるし、

読み終わるまで何ども挫折しそうになったが、


「読み始めた本は全て読み終える」という

当時の私のポリシーという意地のためだけ読み終えた気がする。

「戦争と平和」の感想

ただ読み終えた後に、不思議と愛着が残る本だった。

「あ〜小説ではなく、人生ってこんなもんだな〜


小説みたいにドラマティックな場面があるわけでなく、

日常の細々したことの積み重ねで、ときどき嫌気がさすけど、


私がこの退屈な本を1ページ1ページ我慢して読んだように、

生きるということは、そういう散文的な日々の出来事を

1日1日忍耐して生き抜いていくことなんだろうな〜」

という風に感じられた。

「戦争と平和」の主人公は誰だ?

まあ、私自身のざっくりした感想は置いておいて、

簡単にトルストイの「戦争と平和」の内容を紹介したい。

戦争と平和 (一) (岩波文庫)

戦争と平和 (一) (岩波文庫)

トルストイの小説は、いわゆる「主人公」や「脇役」がいなくて、

一人一人の人物を、まるで実際に存在しているかのように、

細部まで書き込んでいる。


それゆえに小説のような「山場」はなくて、死ぬほど退屈だが、

一度はまると止められない中毒性がある。


「戦争と平和」の主人公もあえていえば「ピエール」なんだろうけど、

私はトルストイは「民衆」それ自体を主人公に据えたかった気がする。

「戦争と平和」の主題(テーマ)

すごく乱暴な言い方だが、

「戦争と平和」の主題(テーマ)を一言でいうと、

「ナポレオンは英雄かもしれないが、本当の英雄は民衆だ」

「どんなにすごい英雄でも、無名の民衆たちにはかなわない」

ということだと思う。

そのことをもう少し詳しく解説したい。

「戦争と平和」の舞台

この小説の舞台は19世紀前半。

ヨーロッパの歴史の舞台に「ナポレオン」という大英雄が一人燦然と現れた時だ。


連戦連勝のナポレオンだったが、そのナポレオンの失脚の始まりとなった綻びは、

ナポレオンによるロシア遠征とその失敗だ。


トルストイは「大英雄ナポレオンを倒したのは誰か?」という質問を

この小説を通じて、読者に問いかけている。


そして、この小説の中のトルストイの答えとは、

「ナポレオンを倒したのは、ロシア皇帝でもロシア軍の元帥でもない。

ナポレオンを倒したのは、名もなきロシアの民衆たちだ。


だから、英雄よりも無名の庶民の方が強いし、偉いのだ」

というものだったと思う。

人間の価値はだいたい同じ

まあ「戦争と平和」も小説だし、

トルストイの主観と思想が明確に描かれているので、

実際の歴史はどうだったのかは、私は専門家ではないので分からない。


ただ

「英雄だってただの人間で、普通の人間と大した違いはない。

英雄だろうが無名の凡人だろうが、人間の価値はだいたい同じだ」

というトルストイの思想には共感した。

漫画「キングダム」に感じる違和感

高校生の時からトルストイに親しんできたので、漫画「キングダム」のように、

英雄と凡人の価値をあらかさまに差別するような作品のテーマには、

すごく違和感を感じる。

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しかし、そのような違和感を感じる私は、どうやら少数派のようだ。


血湧き肉躍る成り上がりストーリーや過激な暴力シーンで、

男性が漫画「キングダム」を好きなのは、なんとなく理解できる気がするが、

女性ファンが多いのは、不思議な気がする。

女性は「英雄」が好きなのか?

しかし、よく考えてみれば、女性ファンが多い少年・青年漫画は、

このような「凡人の千倍の価値のある英雄」がでてくる漫画が多い気がする。


すぐに思い浮かぶのは、「黒子のバスケ」や「テニスの王子様」だ。

黒子のバスケ 1 (ジャンプコミックス)

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テニスの王子様 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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次回の記事では、そのことについて詳しく書いてみたい。

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オードリー・ヘップバーンの映画「戦争と平和」

余談ですが、今回の記事を書く際に調べてみたら、

オードリー・ヘップバーンが演じる「戦争と平和」の映画もあるみたいですね。

戦争と平和 [DVD]

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私は映画が苦手なので、観れないかもしれませんが、

機会があれば観てみたいですし、鑑賞した方の感想もお聞きしてみたいです。

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トルストイとブログ

最後に、トルストイは好きな作家ですが、

ブログで書くには重すぎるかなと思っていたのですが、


以前「A1理論はミニマリスト」のブログで紹介されていたので、

私も啓発されて書いてみました。


この場をお借りしてお礼申し上げます。

okite.hatenadiary.jp

トルストイの他の作品

トルストイの他の作品として、こちらの2作もおすすめです。

復活 (上巻) (新潮文庫)

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アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫)

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