資本主義の旗手であるアメリカが社会主義になる日は来るのか?
「サンダースを生み出した米国と社会主義」という記事を、
今度は私なりに考察してみたい。
社会主義のイメージの変化
まず第1点目は、最近のアメリカにおける社会主義のイメージの大幅な変化だろう。
この悪意あるポスターが示すように、ほんのつい最近の2008年頃まで、
「社会主義」というレッテルは、アメリカ社会では、
ヒットラーやレーニンのような「危険思想」という意味だった。
社会主義=危険思想?
ヒットラーが国家社会主義、オバマが民主社会主義、
レーニンがマルクス社会主義と掲げられた下に、
"In troubled times, the fearful and naive are always drawn to charismatic radicals"
(臆病者と世間知らずは、危機の時代には、いつもカリスマ性のある過激論者に
惹きつけられる)とある。
オバマ=ヒットラー?
この悪意溢れるオバマ・バッシングは、変革を呼びかけたオバマに対し、
意図的にヒットラーのような極悪人のイメージを利用している。
そして、オバマとヒットラーを結びつけるものこそ、社会主義というわけだ。
リーマンショック後の米国
しかし、2008年に百年に一度と言われた金融危機を迎え、事態は一変する。
若者達よ!ウォール街を占拠せよ!
2011年の秋から始まった
occupy wall street (ウォール街を占拠せよ)の運動では、
若者達は誇らしげに民主社会主義を標榜してデモ行進をした。
彼らを掻き立てていたのは、富を独占するウォール街への怒りだろう。
occupy wall street運動で掲げられた、この旗が象徴的だ。
銀行にツケを払わせろ!
MAKE BANKS PAY (銀行にツケを払わせろ!)
(自分で自分の責任を取らせろ!という意味)の上に、
4つの絵と標語が書かれている。
THEY GET RICH, WE GET FORECLOSED
(彼らは金持ちになって、私達は抵当に取られて家を失う)*サブプライム・ローン問題
THEY GET A BAIL OUT, WE GET MAD
(彼らは政府から財政援助をうけて、私達は怒り狂う)
大統領選でのウォール街批判
このような有権者の怒りをうけて、民主党・共和党の両党の候補者は、
こぞってウォール街を批判しています。
ウォール街からの巨額の献金?
しかし、ウォール街から巨額の献金を受け取っているヒラリーやブッシュ弟の主張は
パフォーマンスにしか聞こえない。
そのような有権者の establishment (既成権力) への不信感が、
サンダーズやトランプの支持へ繋がっているのでしょう。
ウォール街の日本人の裏切られた予想
以前の記事で紹介した本の筆者の掘古さんは、
ウォール街で働く金融マンで、
本の中で、
アメリカの資本主義の根本を揺るがすウォール街への反対運動が
長続きするわけがないと豪語なさっていましたが、
アメリカ市民の怒りは掘古さんの予想を上回るほど大きく、
ウォール街を倒すためなら、
資本主義から社会主義へ鞍替えしても構わないと思う人達が
今回の大統領選を揺るがすほどの勢力を持っている姿が
浮き彫りになってきました。
社会主義国家アメリカ?
アメリカが社会主義国家になるという誰しも予想しなかった未来を
一笑に付すことは、もうできないかもしれない。
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