トランプ支持者の姿から日本とアメリカの国家主義の台頭を考えてみた
以前のオバマの涙と次期大統領選に関して書いた記事で、
トランプが何故あんなに人気だか理解できないと述べたが、
トランプ支持者の「ほとんどが白人」で、「非大学卒は約62%で、
(非大学卒の割合が)ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事や
マルコ・ルビオ上院議員の支持者の45%を上回っている」との記事を読んで、
ようやく納得した。
無教養で人種主義的な白人労働者
こういう言い方は、少し乱暴で心苦しいが、分かりやすく言えば、
彼らは典型的な無教養で、人種主義的な白人労働者なのだ。
彼らは「白人である」というその一点だけで、
自分達は他の移民労働者達より優れていると、無条件で信じている。
自分自身を高める努力を放棄して、経済的な不安を怒りに転化している。
そして、「オバマ政権は自分たちから銃を取り上げ、
不安な世界で無防備にさせたがっているのだと思っている」。
その他「「移民は米国にとって益よりも害の方が大きい」と考える人は、
トランプ支持者では80%強に達し、ブッシュ、ルビオ両氏の45%よりはるかに多い。
「自由貿易は米国にとって良くない」は、トランプ支持者では55%と、
これもブッシュ、ルビオ両氏の支持者に比べ27%ポイントも多い。」
「(トランプ支持者の)エリス夫妻は、
トランプ氏が「移民追放」や「イスラム教徒の入国禁止」といった、
他人ならばささやくだけのことを大声で叫ぶのを見て胸がすっとする。
ティナさんは「彼は私が思っていることを口にしているだけだ」と話す。」
(以上「」部分は上記の新聞記事からの引用)
日米の国家主義比較
私がトランプ支持者に関する新聞記事を読んで思い出したのは、
論座2007年1月号に掲載され話題になった以下の論文である。
「丸山眞男」をひっぱたきたい--31歳、フリーター。希望は、戦争。
この著者の赤木智弘さんも、(トランプ支持者の)エリス夫妻も、
個人個人は、善良で勤勉な市民であり、国民なのであろう。
グローバル化の無慈悲な競争に投げ出されて、
一部の人が巨万の富を築くのを横目に、
大多数の庶民は、基本的な最低限の経済的安定も脅かされている。
その怒りはよく理解できるし、自身の尊厳を守るための正当なものだと思う。
しかし、その怒りを安易に国家主義の方向に転化するのは、
大変危険ではないだろうか?
グローバル化でもナショナリズムでもない第三の生き方
同じ「フリーター」でも、安易に国家主義に与せず、
自分の頭で考えて、新しい生き方を生み出そうとする、
こちらの著者のphaさんの方が、私は全面的に共感する。
小さな一歩一歩かもしれないが、彼のような人達のローカルな営為の積み重ねで、
グローバル化にも、ナショナリズムにも組みにしない
新しい第三の生き方が拓けてくると、私は信じている。