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アメリカの義務教育の中の格差問題

前回に引き続き、アメリカにおける教育格差について語ります。

前回は大学の学費の話だったので、今回は高校までの教育の話です。

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平等の基本は教育

アメリカは自由と平等を謳う国だ。
平等は、結果の平等と機会の平等の二種類があるが、
アメリカ人は、結果の平等を共産主義の自由の侵害として嫌う。

しかし彼らが誇る機会の平等の基本は、
すべての人に平等に教育の権利が開かれていることではないだろうか?
アメリカは、高校までが義務教育だが、その教育水準は悲惨を極める。

教師は落ちこぼれのする仕事

教育者が尊敬される儒教的伝統を根強く残す日本人には驚かれるかもしれないが、
アメリカには「どんなバカでも教えることならできる」(Any fool can teach)という
言い回しがある。

幼稚園(アメリカでは幼稚園の一年から義務教育だ)・
小学校・中学校・高校の教員は、
レベルの低い人がする仕事として見下されている。

教師とは、他の仕事ができない落ちこぼれがする仕事だと考えられているのだ。

映画を紹介

(アメリカの初等・中等教育の問題については、こちらのドキュメンタリーが詳しい)

vimeo.com

大学教授は教師ではなく研究者

初等教育・中等教育の教員が馬鹿にされ、予算が削られる一方で、
アメリカの大学教育は、世界最高水準の教育を提供し、教授陣は尊敬されている。

彼らが尊敬される理由は教員としてでなく、博士号を取った専門家であり、
将来大きなお金を産むかもしれない研究者達だからだ。

(余談だが、このような資本主義的観点から、
将来の利益を生む理系の教員の方が予算も潤沢にあり尊敬されているが、
将来の儲けにならない文系の教員・学生は、大学の中では下に見られている。)

質の良い教育は大学のみ

話を元に戻すと、確かに義務教育で全国民に教育の機会は与えられているが、
アメリカで質の良い教育は、残念ながら現在では大学教育にしかない。

各地の幼稚園・小学校・中学校・高校の心ある教員達が社会の偏見と戦いながら、
子供達の未来のために必死で頑張っているが、最近の悲惨な教育政策で予算を削られ、
カリキュラムがギチギチに決められている中で、できることは限られている。

本当の学問の自由・教育の自由・思想の自由を求めるなら、
アメリカの大学は、ある程度は理想的な環境だと言える。

ブランド力のために高い学費

しかしそのような理想的な教育環境は、高くつく。資本主義のアメリカでは
「安い物は質が悪い、高い物は質が良い」という社会通念がまかり通っているため、

本来はもっと安くできるであろう大学の学費さえ
「学費が安いと質の悪い教育を提供しているように見られる」という

大学のネームバリュー(というか見栄)のために、
どこの大学も競って学費を同じ高水準に保っている。

結果として、大学の進学を決める者は、
4年間で2400万円を払える裕福な家庭の出身者か、
自らの借金として背負う覚悟を持つ学生しかいない。

大学の学費問題

アメリカの大学の高額な学費については、こちらの記事をどうぞ。

kbooks.hatenablog.com

次は、この教育の不平等性が今回の大統領選にどう影響するかを語ります。

kbooks.hatenablog.com

追記

サンダーズ氏によると、トップ25人のヘッジファンド・マネージャーが
去年一年間で稼いだお金は、24ビリオンドル(約二兆四千億円)で、
公立学校教師の42万5千人分の給料に相当するそうです。

二兆四千億円って、ちょっと想像がつかない額のお金ですね。